闇と希望の歌舞伎町

ルポ歌舞伎町

『ルポ歌舞伎町』って本を読みました

國友公司さんが2023年に出した本なんですけど、2019年に歌舞伎町を取材した内容が書いてあるんですよ。著者は「ヤクザマンション」って呼ばれる、かつて暴力団の事務所が7割も入居してたマンションに住んで、間近で歌舞伎町を取材したんだそうです。

で、この本の内容をひとことで表現すると、

  • 歌舞伎町の闇の深さは想像を絶する!

ってのを延々と説得してくる感じです(正直、読んでてゾッとする瞬間が何度もありました)。普通の生活してる人には、ちょっとキツイ内容っすね。

ってことで、本書で驚いたポイントをいくつか並べてみると、こんな感じになります。

  • ホストにハマる客の9割が風俗嬢:これには驚きました。ホストクラブに通う女性って、お金持ちの経営者だったり、キャバ嬢がメインだと思ってたんですよ。でも、実際は全然違うんですね。風俗嬢がホストにハマるんじゃなくて、ホストにハマった挙句お金を稼ぐために風俗に手を出すようになっていった人がほとんどなんだとか。特に20代の女性がハマることが多いそうです。

  • たちんぼの存在感:大久保公園などで、路上売春を行っている通称たちんぼも歌舞伎町ならではの光景なんだそうです。ホストに貢ぐ金を売春によって稼いでるんですって。近年ニュースで取り上げられることが増えたので認知はしてたんですけど、それにしても一度ハマるとやめられない依存性の高さには驚かされますね。

  • ホストと風俗の複雑な関係:ホストにハマる女性が自ら風俗嬢になるパターンもあれば、ホストが遠回しに進めているケースもあるんだそうです。直接ホストが勧めると客が来なくなっちゃうから、ヘルプに入ってるホストが相談に乗る形で外堀から埋めていくんですって。ホストと風俗スカウトがタッグを組んでる場合もあるらしいです。ただし、いかなる理由でも斡旋することは違法なので、バレて逮捕されるホストも一定数いるみたいですね。

  • 風俗嬢の過酷な現実:風俗嬢は基本的には店舗やデリバリー形式で家やホテルに出張するタイプが多いんですけど、「海外案件」っていって、東南アジアの国に出稼ぎに行くこともあるんだそうです。単発で大金を稼げるから、短期間で稼ぐにはもってこいの手段なんだとか。

ってことで、まるでSF作品を読んでるかのような読みごたえだった一冊でありました。同じ日本とは思えない世界が描かれていて、現実とフィクションの境目がぼやけるような感覚に陥りました。

で、個人的な感想を申し上げますと、「なぜそこまでして体を売り続けるのか」って疑問が一生かかっても理解できないんじゃないかな、って思っちゃいました。

というのも、この本によると、ホストにハマる女性は自己肯定感が元々低くて、肯定してもらえる場所がホストクラブのみだからハマっていくんだそうなんですよ。情緒不安定なのでリストカットは日常茶飯事で、ヘルプの約束を担当のホストにすっぽかされたときなんかによく行うらしいです。そのためカッターナイフを持ち歩いてるんだとか。泣き崩れてたと思いきや、一度ホストからLINEが来ると人が変わったように気分が晴れて担当ホストの元に飛んでいく…… うーん、これはちょっとなぁ……というところです。

まぁ繰り返しになりますけど、心の隙間を埋めてくれる存在をホストじゃなくて、一般の彼氏に求めて欲しいなぁって切に願います。その方が体を売ってまで辛い思いをすることもないし、将来結婚できる可能性もあるわけで。何より人間の幸福は良好な家族・友人関係でありその礎となる精神状態を健全に保つことができるんじゃないかな、って思うんですよね。

最近では会計を別日に払う売り掛けが禁止されて、大金を一夜に消費することは減ってきてるみたいです。これで回収を催促することも減ってくるんじゃないかな?って期待してます。

ってことで、歌舞伎町の闇の深さを赤裸々に描いた衝撃のルポルタージュ、みなさんも読んでみてはいかがでしょうか。