はじめに
数年前に読んだジョン・レイティ先生の「脳を鍛えるには運動しかない」を再読しています。
この本は、運動が脳に与える影響について詳しく説明されており、運動のモチベーションを上げるために再び手に取りました。
運動と脳の関係
運動が脳に与える影響は、数多くの研究によって裏付けられています。以前は、脳に新しいニューロンが生まれるという考え方は一般的ではありませんでしたが、2007年にコロンビア大学の研究所で初めてニューロンの新生が発見されました。その後、多くの研究がニューロン新生と運動の関連性を示しています。
ある研究では、3ヶ月間運動を行った被験者のMRI画像から、記憶を司る海馬領域の毛細血管が30%ほど増加していることが確認されました。これは、運動によってニューロンが新たに生まれている証拠となります。つまり、運動は脳を鍛える効果があるのです。
運動強度の計算方法
運動強度は、脳への効果に大きな影響を与えます。強度が高いほど、脳への好影響が大きいとされています。運動強度は低・中・強の3段階に分けられ、特に高強度の運動が脳に良いとされています。高強度の運動とは、最大心拍数の75〜90%の運動のことを指します。
最大心拍数は、「220 - 年齢」で計算できます。例えば、45歳の場合、最大心拍数は175になります。
220 - 年齢 = 最大心拍数
ただし、「208 - (0.7 x 年齢)」という計算式の方がより精密だという意見もあります。
208 - (0.7 x 年齢) = 最大心拍数
両者の差は微々たるものなので、好きな方を使えば良いでしょう。現在では、アップルウォッチなどのウェアラブルデバイスで心拍数を計測できるため、自分の運動強度を簡単に把握することができます。
推奨される運動量
運動量に関しては、基本的には「やればやるだけ良い」とされています。ただし、高強度の運動は回復が必要なので、毎日行うことは推奨されていません。週に2回程度の高強度運動が適切だと考えられています。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、週に150分から300分の中等度から高強度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)と、週に2回から3回の筋力トレーニングを推奨しています。つまり、1日に30分程度の中等度以上の運動と、定期的な筋トレを組み合わせることが理想的です。
運動習慣をつけるには
キツめの運動を習慣化するのは簡単ではありません。そこで、他者と一緒に運動することが重要になります。例えば、フットサルチームに入ったり、友達とジムに通ったりすることで、運動習慣を形成しやすくなります。動物実験でも、集団で運動したラットの方が、一匹で運動したラットよりも海馬での神経新生が促進されていたことが示されています。これは、社会的な交流によってストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が抑えられ、神経新生が邪魔されないためだと考えられています。
人間においても、仲間と一緒に運動することで、脳がリラックスしながらも活性化され、可塑性が高まる可能性があります。楽しく会話をしながらのウォーキングやジョギングも良い方法です。何より、楽しみながら継続できることが大切です。
まとめ
運動は、脳に多くの好影響を与えます。ニューロンの新生を促進し、記憶力や学習能力を向上させます。適切な運動強度と運動量を心がけ、継続的な運動習慣を形成することが重要です。また、他者と一緒に運動することで、運動の効果がさらに高まる可能性があります。楽しみながら運動を続けることが、脳の健康維持につながるでしょう。この本を再読したことで、運動のモチベーションが上がりました。自分に合った方法で、運動を生活に取り入れていきたいと思います。