「プロダクト・レッド・グロース」という本を読みました。著者のウェス・ブッシュさんはビジネスコンサルタントとして活動する傍ら、学長として日々生徒に本著のメインテーマであるPLGを使っていかにSaasビジネスで成長の火種をつけるか?ってことを教えているらしいです。
本著の主張はざっくり言うと「セールスがプロダクトを売る時代から、プロダクトでプロダクトを売る時代に変わったぜ!」みたいな話です。まずはプロダクトを試してもらって、魅力を感じてもらったタイミングで購入を促していこうという考え方ですね。
確かにSlackだったりCanvaってセールスマンから買ってないですもんね。「もうちょっといろんな機能使いたいな」と思った時なんかに課金しないといけなくなったことは多くの人が経験しているはず。
PLGとは?
まずはPLGってなんなの?というところから見ていきますとPLG(プロダクト・レッド・グロース)は元々2016年にOpenView(オーピンビュー)っていうベンチャーキャピタルが提唱した成長戦略のことです。
フリーミアム(部分的な機能はずっと無料)やフリートライアル(〇ヶ月お試し)を駆使してユーザーを獲得してからSNSなどのクチコミなどでユーザーを増やしていき、最終的に「もっと使いたい!」と思わせたタイミングで課金を促す考え方です。
アメリカのソフトウェア・スタートアップ業界では「2020年はPLG時代!」とも言われているくらい、注目を集めているPLGです。
なぜPLGなのか?
ではなんでこのPLGが広まってきているのかと申しますとと、Saasビジネスには以下の3つの変化が起こっており、
Saasビジネスを低コストで立ち上げることができるようになったので、参入コストが下がり顧客獲得コストが上がった。
顧客が購入前に自らプロダクトを学習することを好むようになった。
プロダクトの利用体験が新規ユーザーの購入に重要視されてきた。
ってところが背景にあると著者は述べています。確かに新規サービスの立ち上げのニュースはよく目にしますもんね。あと、セールスに勧められて使うよりも自分で試して判断したいってのはわかる気がしています。
PLGのメリット
ざっくりPLGの概要を見てきたところで、次はPLGのメリットを見ていきます。
優位な成長エンジン
ビジネスのスケールにおいて次の2つの要素はより強い力を持っているのだそう。
1. 広いトップ・オブ・ファネルによってかなりの広範囲でユーザーを取り込むことができる。
2. 僅かな時間で世界中の顧客にサービスを届けることができる。
格段にCAC(顧客獲得単価)が安い
無料のサービスは競合優位性を次の3つで築く力を持っているのだそう。
1. 見込み客自ら使い方や機能を理解するので、プロダクトの価値を感じるまでの時間が短く、有料ユーザーに切り替わるまでが早い。
2. 従業員1人あたりの売り上げ(RPE)が高い
3. ユーザー手動でプロダクトの価値を感じることができる設計なので、より良いユーザー体験がサポートなしで可能
PLG導入企業
下の画像からもわかるとおり、PLGを導入している企業は年々増えており、代表的なところだと
Slack
zoom
と言ったところでしょうか。
成長具合はどうか?
IPO(新しく株式を上場すること)後、S&P500などを差し置いて高い成長率を叩き出している。(詳しくはないがとにかくすごいらしい)
もちろん、これは「PLGをすれば成功する!」って話ではなく、自社のプロダクトがPLGに向いているかによって効果があったり逆にマイナスな方向に行ってしまうので、あくまで今のプロダクトの特性を活かしながら成長させていこうってところがポイントになります。と言うわけで次回は自社プロダクトがPLGに向いているかを見極めるポイントを見ていきます。
あと個人的に「じゃあセールスマンはいらない?」って最初思いましたが、全くそんなことはなく、いろんな販売プロセスの中で部分的には有効って話なのでむしろ大口顧客を獲得したり、ニッチな分野での販売においては、セールス主導型に分があるようなのでそこら辺の使い分けが大事ってことですね。